EvaluatePharmaの2026年売り上げ予測から思う今後の業界のこと

先日、Evaluate Pharmaから2026年の売上予測が出ました。武田薬品、ブリストルマイヤーズ、アッヴィといった会社は大型M&Aを行いましたが、2026年でもっとも売り上げが高いのはロシュと予測されております。

世界の製薬会社売り上げランキング2026

ロシュがすごいのはアバスチン、ハーセプチン、リツキサンといった超大型薬剤のバイオシミラーが出た後でも新たな新薬を開発して成長し続けていくところです。抗PD-L1抗体のテセントリクをはじめ、血友病治療薬のHEMLIBRA、多発性硬化症治療薬のOCREVUSといった薬剤の開発、上市に成功しており今後売上が拡大することが見込まれています。

ブリストルマイヤーズとアストラゼネカも成長率が高いことが示されていますが、両社の状況は異なるかと思います。

ブリストルマイヤーズはセルジーンの買収により多発性骨髄腫治療薬であるレブラミドを獲得し、ピーク時は4位までランキングが上がると予想されておりますが、レブラミドの特許切れに伴い2026年には8位まで後退することが予測されています。

一方のアストラゼネカは肺がん治療薬のタグリッソや卵巣がん治療薬のリムパーザ、抗PD-L1抗体のイミフィンジ、BTK阻害剤のCALQUENCEといった多くのパイプラインを有して売り上げを伸ばしていることから、今後しばらくは継続した成長が見込まれるのではないかなと感じます。また、これまでアストラゼネカは血液領域のパイプラインがありませんでしたがBTK阻害剤をきっかけに血液がんにも参入していくため、日本でもこれからそのあたりの人員募集が始まるでしょう。

ただ、ブリストルマイヤーズもセルジーンが開発していたCAR-T療法のLiso-celやIde-cel、MDS治療薬のluspaterceptなどを取得したため、レブラミドの特許切れ以降もランキングが大きく低下することは考えにくいかと思います。

アッヴィはヒュミラ、ギリアドはC肝治療薬で大きく売り上げを伸ばしていましたが、2026年時点では目立つ大きな成長は予測されておりません。ただアッヴィはアラガンの買収により再び売り上げランキングは上位に入ってくることが予測されており、ギリアドもキャッシュがあるうちに別の会社の買収をする可能性も考えられます。

世界の医薬品売り上げランキング2026

続いて医薬品の売り上げ予測をみてみます。

ご覧の通り、キートルーダが圧倒的な売り上げを誇っておりますね。3位のオブジーボと大差をつけているあたり、市場規模の大きい肺がんで標準治療薬となるインパクトがどれだけ大きいか感じ取れます。

適応疾患でみてみると、オンコロジー領域がTOP15の中に6つランクインされており、その他では循環器、感染症、自己免疫疾患、DMなどがランクインされております。

オンコロジー領域とその他の領域で異なる点としては、一般にその他の領域だとファーストインクラスやベストインクラスの薬剤が大きく売り上げを伸ばしているのに対し、オンコロジー領域ではそれ以外の薬剤もランキングに入ってくる点が考えられます。オンコロジー領域では市場規模が大きいのがこういったランキングに入る要因になっているのではないかと思います。

2026年までに成長が期待できる医薬品

続いて、現在世界で既に上市されている薬剤のうち2026年までで成長が大きく期待されている薬剤をみてみましょう。


1位はノボの2型糖尿病治療薬であるRYBELSUSでした。治療効果と簡便性という点で大きく売り上げを伸ばすようです。

続いて2位はアッヴィのJAK1阻害剤であるRIVOQでした。適応もリウマチということで市場規模も大きい疾患が対象となります。

続いて3位は第一三共とアストラゼネカが発売するエンハーツです。こちらの薬剤はとても期待されていますね。抗体-薬物複合体の乳がん治療薬で大型化が期待されています。

4位以降は以下の通りとなっています。

4位:Padcev 抗体-薬物複合体 ネクチン4を阻害 適応は尿路上皮がん アステラスがSeattle Genetics社と共同開発

5位:Oxbryt 鎌状赤血球症治療薬 脱酸素化鎌状ヘモグロビンの重合を阻害 米国のGlobal Blood Therapeuticsが開発

6位:Spravato ケタミン誘導体の抵抗性うつ病治療薬 ヤンセンが開発、販売

7位:Reblozyl 成人βサラセミア貧血治療薬の赤血球成熟製剤 セルジーンが開発、ブリストルが販売

8位:Evrenzo HIF-PH阻害剤で腎性貧血の治療薬 米国のFibroGen社が開発、アステラスとアストラゼネカが販売

9位: Breztri Aerosphere LAMA・LABA配合剤でCOPDの治療薬 アストラゼネカ社が販売

10位: Givlaari RNAi治療薬で適応は急性肝性ポルフィリン症 アルナイラム社が開発、販売

簡単にまとめるとこのようになっておりました。興味深いのが普段聞かないような会社が開発している薬剤が大型化しているケースが多いことです。特に5位のOxbrytはFDAのブレイクスルーセラピーや優先審査の対象となっている薬剤ですが、Global Blood Therapeuticsというアメリカの会社が開発をしました。日本では調べたところまだどこが販売するのか分かりませんでしたが、こういった会社が日本に参入するなどの情報には敏感に対応していきたいですね。

10位のアルナイラムもこれまでにはない作用機序の薬剤を開発し、日本でも展開している会社ですね。シャイアーからこちらの会社にいったMRの人が多いと話は聞きますが採用試験では英語面接もあるようですね。少数精鋭の会社でかなりやりがいを感じることができる会社なのではないでしょうか。

こうやって2026年の展望をみてみると今よりさらにメーカー間の格差は広がるのではないでしょうか。現在画期的な新薬を開発している多くはベンチャー系の外資企業が多く、そういったベンチャー企業は大手企業とライセンス契約するか、少数精鋭で日本の立ち上げを行います。そのため、そういった立ち上げ会社や大手企業の特定領域で活動を行えば、前線に立ってMR活動をすることができますし、待遇も良い環境で働くことができるかと思います。一方で差別化が難しい薬剤を扱う領域ではMRはどんどん削減されていくと思いますし、やりがいも感じにくい環境になるのではないかなと思います。人それぞれ価値観は異なるためどの道を進むべきかは悩むところですが、MRとして今後のキャリアを考える人の参考になればと思います。

 

 

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